手のひらの中のシュール【映画構想ノート4】

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シュールな映画というとロべール・ブロッソンやテオ・アンゲロプロスを思い出します。ブロッソンの息詰まるような緊迫感とアンゲロプロスの美しい幻想的な色彩、どちらもが、大きなスケールの芸術的世界です。

それに比べこの映画は、てのひらの中のシュールとでもいいましょうか、すぐそこにある、何気ない凡庸の中にあるシュールです。

目次

日々移り変わるシュールな田園風景

それは芸術的という肩の張った大きなテーゼではなく、山河や木々の日々移り変わるシュールでもあります。

自然から惜しげもなく与えられるあまりに凡庸で普通なそれらの光景。朝の光から始まり、夕方の黄昏に終わる日々の暮らしの光景の、シュールです。

ブロッソンやアンゲロプロスのシュールが天を目指し垂直に上がる高邁な芸術だとしたら、能勢監督と篠田カメラマンが撮ったこの映画の映像は、優しいてのひらで人々を包み込む「幻想の村」のシュールです。

そのあまりにも普通で、しかし美しい日本の原風景を、遠野から、岩手から全国へ、世界へとお伝えしたい。それが私の使命でもあると考えます。

その映像に植田彰先生の音楽が付きます。

私は映画を撮ると決めたときから音楽は植田先生で、と考えていました。

監督から音楽は植田先生で、と相談されたときはもちろん即OKでしたね~。
さらに私は弦楽四重奏だな~と思っていたのですが、植田先生は別の案を持って来られました。それは何か?
ぜひ映画を見てからのお楽しみにしてください。

現代音楽の作曲家であり、武満徹作曲賞を連続受賞されている植田先生の音楽が、この映画の中でどんな風に展開されるか・・・・??

能勢監督とのコンビで全音楽を担当した記録映画『広島原爆 魂の撮影メモ 映画カメラマン鈴木喜代治の記した広島』(監督:能勢広)は科学技術映像祭にて文部科学大臣賞を受賞しました。この映画の音楽録音に私も参加させていただきました。その時のことは次回書きます。

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