プロデューサーのコラム– category –
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プロデューサーのコラム「私は心しかもっていない」
児玉房子さんの著書「ガラス絵に魅せられて」の中にとても見事な言葉が載っている。それは、「私は心しかもっていない」ということばです。なんと簡潔でみずみずしい言葉かと思います。この言葉は1989年のルーマニアのチャウシェスク独裁政権下で、そ... -
プロデューサーのコラム「田下さん、いかにも東北の女性らしい人を、探してきてください」
能勢監督から「田下さん、いかにも東北の女性らしい人を、探してきてください。」と言われました。いかにも東北?それは何だろうと考えると、すぐに厳しい寒さが思い浮かびました。厳しい寒さや環境の難しさに耐えしのいで生きている女性こそ、東北の女た... -
プロデューサーのコラム芸術には二種類あってね
芸術家には二種類あってね。一つは自分が好きで、それを表現しようとするタイプ。例えばモネなんかがそうだね。この人たちはどんどん作品が洗練されておしゃれになっていく。その根底にあるのは、ナルシズム。この人たちは自分を愛している人たちです。も... -
プロデューサーのコラム目がキラキラしていた菊池青年に、私が何を見たか。
目がキラキラしていた菊池青年に、私が何をみたか。それは彼の中にある純粋性です。それと理想と現実に向かうひたむきな意志です。あゝこの青年で間違いない、と思いました。単にひたむきであるだけでは、現実社会はなかなか手ごわいです。現実を相手に戦... -
プロデューサーのコラムこの村にはお爺ちゃんとお婆ちゃんばかり、若者はどこにいるんだろう!
まだガラス絵館から映画撮影の許可が下りていない頃、それでも能勢さんと一緒に秋の遠野の風景を撮影して廻りました。だいぶん絵を撮ってから、能勢さんがポツリといいました。この村(遠野)は、みんなお爺ちゃん、お婆ちゃんばかりで、後継者はいないの... -
プロデューサーのコラム音が作りだす映画のミクロコスモス【映画構想ノート5】
能勢広監督『広島原爆 魂の撮影メモ 映画カメラマン鈴木喜代治の記した広島』では、静まり返った冒頭の映像の中で、カ~ンとピアノの単音が入ります。その後少しずつ音程の間をとりながら、画面に合わせて単音が展開していきます。これは、音楽としても見... -
プロデューサーのコラム手のひらの中のシュール【映画構想ノート4】
シュールな映画というとロべール・ブロッソンやテオ・アンゲロプロスを思い出します。ブロッソンの息詰まるような緊迫感とアンゲロプロスの美しい幻想的な色彩、どちらもが、大きなスケールの芸術的世界です。それに比べこの映画は、てのひらの中のシュー... -
プロデューサーのコラムプロデューサーの覚悟【映画構想ノート3】
さ~、いよいよ撮影のロケの開始です。遠野まで、車に機材を載せて約7時間、東北道を走ります。その間能勢監督から聞いた話がすごかった!!往復14時間のレクチャーです。【映像の原点とはなにか】それは映像の原点とはなにか、ドキュメンタリー映画の... -
プロデューサーのコラム児玉房子さんが残した言葉【映画構想ノート2】
いよいよ映画製作への見通しがついた時もう一つ大事なことは、ガラス絵館の許可をいただくことでした。児玉房子さんの書かれた本を拝見すると、児玉さんがいわゆる売り絵としてではなく、世の中の趨勢などには関係なく純粋に絵を描かれていることがわかり... -
プロデューサーのコラムガラス絵のシュールな映画を作りたかった【映画構想ノート1】
さて、今日からは、映画ができるまでのエピソードを書いていきましょう。【ヒューマンドキュメントを作るつもりはなかった】私は児玉房子さんとガラス絵を主体としたヒューマンドキュメントの映画をつくるつもりはありませんでした。ドキュメンタリー映画...